年末年始に飲んだ酒
四月に入りはや一週間。夏を予感させる暑さがあったかと思えば、
一昨日などは外套を引っ張り出さねば出かけられないほど寒かった。
うららかなイメージが強い春にありながら「春は暴力的だ」と云った知人がいたが、
なるほど言い得て妙なのかもしれない。
たしかに、何かと忙しないがためについ忘れてしまいがちだが、
春の気候はずっとこんな感じであったようにも思う。
寒の戻りに触れてこの冬のことを思い出すなどした。
この冬は猛烈な早さで去っていった感がある。
加齢のせいにしてしまうのは簡単だが、
冬に対して自分の中でひとつ区切りをつけずにダラダラここまで
きたということも多分に影響しているように思う。
整理し清算することは、過去をしっかりと過去とするための目に見えない儀式だ。
しかし人々が今躍起になっている「記録」という行為は、
緩慢な現在を薄く引き延ばすことに成り下がってはいないか。
その人々のなかには無論僕も含まれる。
年末年始に飲んだ酒